耳元で・・・
僕には3つの不思議な体験があります。
一つめは先日書いた金縛り。
あれは僕自身「納得のいかない」出来事でした。
リアルに感じた布団をたたく感触、しっかりとした意識の中感じた圧力・・・。
今日は僕の三つの不思議な体験の二つめのお話をしましょう。
とはいえ、それは、もう振り返ると20年以上前の話です。
僕の実家は6階建ての最上階、そういう表現を使うとかっこよく聞こえますが、普通のビルに住んでいました。
ビルが建った当時は隣は空き地で、町内でも唯一のビルのため、東向きの僕の部屋は朝陽がまぶしいほどに差し込む部屋でした。そのため部屋をを遮光カーテンにしていたほどです。
札幌は今住んでいる東京に比べ緯度が高く、夏は朝4時くらいに日が昇る感じで、とにかくまぶしいという感じばかりがありました。
しかし、すぐに隣の空き地には僕の住んでいたビルを超える高さのマンションの建設が始まり、あっという間に僕の部屋は日中も薄暗い部屋になりました。
でも、ほとんど居間で過ごしていたため気にすることもなく、気にもしていませんでした。
朝陽がまぶしいという感触も忘れていたある日の明け方です。熟睡していた僕はカーテンの隙間からまぶしいほどの光を感じ、うつろなまま「まぶしいな」と思ったのですが、さほど気にすることもなく、隣の若干高さをずらしてたてられた隣のマンションの部屋の照明だろう・・、程度に思っていました。
程なくそのまぶしさは消え、ぼくは再度熟睡に落ちようとしていたのです。
お世辞にも「きれい」ということができないほど散らかっていた僕の部屋は、当時真剣に取り組んでいたラジコンのパーツや雑誌、そして学校から配られたプリントが散乱し、いわば「足の踏み場もない」状態でした。
そんななか、まぶしいと思った僕の部屋に人の気配を感じました。いや、人ではない体温を持つ何かの気配です。
最初は部屋の真ん中程度にいると感じていたのですが、眠気のせいだと全く気にすることもなく熟睡に落ちようとしていたのです。
徐々に熟睡に落ちようとしている中、その体温を持つ何かの気配が少しずつ近寄ってくる気がしました。僕は目を閉じて寝ようとしているのに、何かを感じるのです。
しかし睡魔がまだ勝っていて、全然気にとめることもしていませんでした。
でも、その瞬間「カサ」と明らかに部屋に散らかるプリントを踏む音がしたのです。
そしてその体温を持つ何かはゆっくりと僕に近づいているのです。
「カサッ・・・、カサッ・・・。」ものすごくゆっくりと、でも確実に一歩一歩、僕に近づいてきます。
そして近づけば近づくほど、その体温を持つものの大きさの感覚が感じられるようになりました。
結果的に僕は「それ」を直接みることはなかったのですが、下が引き出しになっているために若干寝る位置が高いところにあるベッドに寝ている僕の、そのちょうど60センチくらいの高さにある僕の顔の高さの身長を持つ何かが近寄ってくるのです。
「カサッ・・・、カサッ・・・。」と音を立てながら、ついにそれは寝ている僕の顔を横からのぞき込む体制であることさえ感触として感じることができる状態になりました。しかも見ていないにもかかわらず、銀色のビニールのような質感を感じることができたのです。
目を閉じて、眉間に指をそっと寄せていくと突然ムズムズとする距離ありませんか?
僕は横になりながら、耳元にその感触を感じたのです。
耳元で銀色をしたビニールの質感を持つ何かが、声を出さずに口を動かすような感触を感じたのです。
さすがに怖くて目を開ける勇気もなく、緊張と恐怖で身動きをとることもできず、じっとしていたのですが、その体温を持つ何かはフッと気配を消しました。
今思うと、先の金縛りと酷似した、何となく感じる不思議な感触ということで語ることができるものかもしれません。
でも、目を閉じているにもかかわらず、銀色の姿をしていると感じさせる何かがいる感触を、そのときの僕は感じたのです・・・。